メイ・チロ・チビ(1)

愛犬チロ

今から17年ぐらい前のこと。。。

私の実家がある田舎に、二匹の犬が現れるようになった。

一匹は、まだ子犬で、よく似ていたのでたぶん親子だろう。

当時、実家にはチャムというオス犬がいた。

それと祖母があまり犬が好きではないのもあり

その二匹をうちでは飼うことが出来なった。

両親は「親子なら一緒がいいだろう」と

二匹を一緒に飼ってくれる場所を探していた。でも、なかなか見つからなかった。

その間、二匹は田舎を放浪していた。

そんなある日…実家の車庫に二匹がいた。

子犬は大けがをしてぐったりいた。

傷口はカマで切られたような傷だったらしい。

ほっとける訳が無い。

それを二匹は知っていたのだろうか。。。

この家なら助けてくれる…そう思ったのだろうか。

二匹を保護し、簡単な治療をした。

次の日まで持つかどうか…そのぐらいひどい傷に見えたそうだ。

次の日の朝、様子を見に行くと、子犬はケロッと元気になっていた。

父が「赤チンを塗ったら元気になった」とへらへら笑っていた。

深く物を考えない人だと、子供の頃から父のことを思っていた。

本当は、心配で仕方なかったけれど、父はそういう所を人に見せない。

そのことに気付いたのは、もっと後になってからだ。

愛犬チロ

窮地に追い込まれた時、本能はきっと光を探す大きな力を持つ。

救いを求めて来た犬たち。

「ここしかない」

我が子を助けたい母親犬の願い。

それを受け取った人間たち。

「もう犬は飼わない」と言っていた両親。

ものすごい犬好きという訳でもない。

自分たちの行いを美談として語ることもない。

私も捨てられた犬たちがガスで処分される現実も知らず、

ワンワンライブも初めていなかった頃。

ただ目の前にやって来た命を引き受けた。家族として迎え入れた。

「怪我して来たから、しょうがないわあ」と母も笑っていた。

その日から、母親犬は‘メイ’

子犬は‘チロ’になった。

つづく

 *

上の写真は、成犬になったチロ。
下はチビです。

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