たくとのこと (9)「大好きだよ」

たくと

ねえねえの歌が大好き

ねえねえのご飯が大好き

ねえねえのことが大好き大好き大好き…

ほとんどおうちにいれた期間を大切に過ごして

半月ぶりのコンサートの日。

「たっくん、行ってくるからね。

 待っててね~

 帰ったらお写真、一緒に撮ろうねえ。」

いつものように体をなでなでして出かけた。

お客様の満足度の高い、クライアントさんにも喜んで頂けたコンサートを終えて、うちに帰った。

きっとそんな日のねえねえをたくとは大好きだったんだと思う。

やっぱり☆

たくとは、ちゃんと待っててくれた。

すっごく嬉しくて、たくとを抱き上げた。

「たくとお写真、撮ろう!」

私の腕の中で温かいたくと。柔らかい毛。大好きなたくとの身体。

甘えて、あずけて、柔らかい良いお顔。

私を見る。風音を見る。

たくと

写真を撮り終えて

「たくと、ねんねね」

寝床に寝かせると呼吸が不自然になった。

すぐにまた抱っこして話しかけて

「たくと、だいじょうぶだよ」

優しく、穏やかに、笑顔で話しかけた。

一回、呼吸が止まったように見えたけど

私の呼びかけに、また呼吸が始まった。

良かった。きっとだいじょうぶ。

「たくと~大好きだよ」

それを聴いて、安心したように、たくとは深呼吸をした。

私の方に目線を向けたまま…

それが、たくとの最後の呼吸になった。

子犬の頃から、何度も言った。

「最後は、ねえねえの腕の中でね。約束よ。

 ねえねえ、笑ってたくとを送るからね。」

約束を果たしてくれた。

呼吸が荒くなって、ほんの数分の出来事。

だから、まだ逝ってしまうと思っていなくて…

だから、私も笑って見送れた。

約束を私が果たしたんじゃないね。たくとが果たさせてくれた。

たくと

風音と目を合わせた最後の瞬間。お話したかな。

犬ってすごい。

すごすぎるよ。

約束した写真も撮らせてくれた。

16年も生きてくれた。

今月は家の仕事がほとんどで前日までずっと一緒にいた。

ちゃんと介護の時間もくれた。

コンサートもちゃんと歌えるように、終わってから逝った。

待っててくれた、最後、腕の中で逝ってくれた。

時期もタイミングも状況も、なにもかも完璧なんだよ、たくと。

いろんなこと、なんでも自分を責める私をたくとはよく知っていたから

私が自分を責めないようにしてくれたんだね。

すごすぎるね、犬は…。

こんなに完璧だったら、ねえねえ自分を責めれない…。

何時間も何時間も泣き続けた。

今までどんなことも一緒に乗り越えて来た。

たくとがいたから、私は生きてこれた。

たくとがいたから、ワンワンライブがある。

たくとがいたから、今の私がある。

犬は後に生まれて

ずっとかわいいまま

ずっと大好きなまま

逝ってしまう。

さっきまでかわいいお顔で私を見てたのに

さっきまで腕の中で温かかったのに

泣き続ける私の頭に浮かぶのは

ねえねえの歌が大好き

ねえねえのご飯が大好き

ねえねえのことが大好き大好き大好き…

たくとの声かな

そうならいいのに。

愛犬たくと

『朝のうた』

目が覚めた ありがとう

あなたがいる ありがとう

お父さん お母さん ありがとう

おじいちゃん おばあちゃん ありがとう

ご先祖様 ありがとうございます

兄弟 こどもたち ありがとう

出会う人々 ありがとう

どうぶつたち ありがとう

空 雲 大地 水 木や花 虫たちも

ありがとう 地球全部 美しいこの星

ここにいる奇跡 あなたといる奇跡

生かされてる‘ありがとう’

今日が始まる‘ありがとう’

思いも言葉も出来事も

ぜんぶ大事なメッセージ

有り難いものだらけ

お陰さま ありがとう

そして一番 大切な自分の体にありがとう 

頑張る自分にありがとう 大好きだよ ありがとう

太陽 朝日を浴び 恵みを受け取って

私にできることを笑顔で今日も行こう

巡り会う奇跡 当たり前なんてどこにもない

守られてる‘ありがとう’

支え支えられ‘ありがとう’

ここにいる奇跡

すべては良い方に向かっている

信じてる‘ありがとう’

今を楽しもう‘ありがとう’

私に命をありがとう

この歌の‘あなた’も、たくとを思った。

まだまだたくさん、たくとがいたから生まれた歌があるよ。

たくと、私のいのちを繋いでくれて、ありがとう。

きっとこれからも、たくとは私を支えてくれるんだろなあ。

たくと、大好きだよ。

愛犬とチューリップ

ネットを通じて、たくとをかわいがって下さったみなさん

ありがとうございます。

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