3.ひまわりのパジャマ

ひまわり

「じいちゃんの好きな花はひまわり。あっこの好きな花もひまわり。」
一緒に行った最後の旅行の日、わかったこと。
大好きな祖父と私の好きな花が同じだったということ。

泊まった宿は原鶴温泉。
一緒に目指した朝倉のひまわり畑。

時期じゃなくて見れなかったんだよね。

けどその後、祖父が送ってくれたひまわりのタオル。
嬉しくて嬉しくて抱きしめて、ぽろぽろ泣いた。

祖父がいなくなってから
とってもとっても仲の良かった祖母と何度もひまわりの話をした。
「じいちゃんの好きな花はひまわり。あっこの好きな花もひまわり。」

そして、ある時、祖母から届いたひまわりのパジャマ。
大切すぎて両方とも一度も使っていなかった。

昨年のお盆に亡くなった祖母。
私は自分で作ったポストカードをよく祖母に送っていた。
最後に送ったのもひまわりの写真だった。

「あっこ、いつもハガキありがとうね」
亡くなる二日前、祖母の誕生日の日の電話でそう言ってくれた。

祖母がひまわりの花束を抱いて、祖父に会いに行けたらいいな。
お葬式の前に母と探した。

小さな町、花屋も少ない。
時期もお盆のすぐ後で、閉まっているお店も多く
ひまわりはなかなか見つからなかった。
「もう一件だけ」最後に訪れた花屋。
やっぱり思いは届くんだな。
そこには、小さいけれど元気なひまわりの花たちが待っていた。

私が私でいられる安心の場所。
それが祖父と祖母のいる場所だった。
大好きだった。
なかなか会えなくても、祖父と祖母は私の支えだった。

手にケガをしてからも何度も何度も祖父を思う。祖母を思う。

手にギブスをしているので着れる服がとても少ない。
いつものパジャマも入らない。
そしてふと思い出した。祖母にもらったひまわりのパジャマ。

クローゼットから出して着てみたら、袖がスルスルと通った。
「あっ…着れた」
すごく着心地がよくて、ふわっと温かくて
まるで祖母に抱っこされているよう…。

生地は絹。絹って温かいんだ。
じ~んって心も温かくなる。

もうここで会えなくてもね。
ばあちゃん、愛って温かいんだね。

会えなくなってもね。
支えてくれるんだね。
伝わってくるんだね。
温かいね。

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