「じいちゃんの好きな花はひまわり。あっこの好きな花もひまわり。」
一緒に行った最後の旅行の日、わかったこと。
大好きな祖父と私の好きな花が同じだったということ。
泊まった宿は原鶴温泉。
一緒に目指した朝倉のひまわり畑。
時期じゃなくて見れなかったんだよね。
けどその後、祖父が送ってくれたひまわりのタオル。
嬉しくて嬉しくて抱きしめて、ぽろぽろ泣いた。
祖父がいなくなってから
とってもとっても仲の良かった祖母と何度もひまわりの話をした。
「じいちゃんの好きな花はひまわり。あっこの好きな花もひまわり。」
そして、ある時、祖母から届いたひまわりのパジャマ。
大切すぎて両方とも一度も使っていなかった。
昨年のお盆に亡くなった祖母。
私は自分で作ったポストカードをよく祖母に送っていた。
最後に送ったのもひまわりの写真だった。
「あっこ、いつもハガキありがとうね」
亡くなる二日前、祖母の誕生日の日の電話でそう言ってくれた。
祖母がひまわりの花束を抱いて、祖父に会いに行けたらいいな。
お葬式の前に母と探した。
小さな町、花屋も少ない。
時期もお盆のすぐ後で、閉まっているお店も多く
ひまわりはなかなか見つからなかった。
「もう一件だけ」最後に訪れた花屋。
やっぱり思いは届くんだな。
そこには、小さいけれど元気なひまわりの花たちが待っていた。
私が私でいられる安心の場所。
それが祖父と祖母のいる場所だった。
大好きだった。
なかなか会えなくても、祖父と祖母は私の支えだった。
*
手にケガをしてからも何度も何度も祖父を思う。祖母を思う。
手にギブスをしているので着れる服がとても少ない。
いつものパジャマも入らない。
そしてふと思い出した。祖母にもらったひまわりのパジャマ。
クローゼットから出して着てみたら、袖がスルスルと通った。
「あっ…着れた」
すごく着心地がよくて、ふわっと温かくて
まるで祖母に抱っこされているよう…。
生地は絹。絹って温かいんだ。
じ~んって心も温かくなる。
もうここで会えなくてもね。
ばあちゃん、愛って温かいんだね。
会えなくなってもね。
支えてくれるんだね。
伝わってくるんだね。
温かいね。